心と心包

前回十二経絡と暦の関係から考える未来の東洋医学でも少し説明しましたが、東洋医学では五臓六腑として、五臓(肝心脾肺腎)と六腑(胆小腸胃大腸膀胱と三焦)を内臓の中でも重要なものとして定義しました。その後、12か月に合わせるために五臓に心包を加えて六臓六腑としました。

ここで加えられた心包とは解剖学的には何を指すのでしょうか?

古典では心包の別名として、膻中(だんちゅう)や心包絡と書かれています。

「膻」という漢字は肉月へんに壇の旁でできていますので、身体として壇のようになっているという意味に取れます。つまり、乳房のことを指していると考えられます。

膻中(だんちゅう)の位置は両乳頭を結んだ高さの正中(体の中心)なので、まさに両乳房の中心という意味で膻中(だんちゅう)となっています。

なので心包とは胸の真ん中にある臓器と考えられます。解剖学的には心臓が胸の真ん中から少し左側が大きい形であり、そこを包む臓器という意味の可能性が高いわけです。

もう一つの別名、心包絡については、絡とは経という縦の太い血管に対して、横に走る小血管を指す言葉なので、心臓を包む小血管という意味になります。

心臓は解剖学的に縦の血管として太い大動脈があり、横の小血管として心臓を栄養する冠動脈が存在していますので、心包が指すものは冠動脈と考えられれます。

さらに、東洋医学では「心は血脈を主る」とされており、心臓が血管系をコントロールしていると考えます。ここから発展して、心臓という臓器に対して血管という臓器を想定したものが心包とも考えられます。

結論として、心包の狭義の意味では冠動脈を指し広義の意味では心臓に対する血管系全体を指すと考えられるのです。

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