十二経絡と暦の関係から考える未来の東洋医学

東洋医学では人体に12本の経絡があるとしています。しかし、古くは11本の経絡としていた時代がありました。内臓の数を五臓六腑と考えて、5+6=11本と最初は考えていました。

湖南省長沙市の馬王堆漢墓(まおうたいかんぼ)より発掘された『足臂(そくひ)十一脈灸経』『陰陽十一脈灸経』という出土文献では11本の経絡しかなく、その後の時代に12本の経絡になったことがわかります。

なぜ、11本を12本に変えたのかというのは、暦学の発展と関係があると考えられます。

東洋医学はもともと政治思想(王朝交代の理由を説明する思想)である陰陽論と五行論が先にあって。それを医学に応用して理論がまとめられた側面が強いのですが、政治思想を人体の理論に応用できるとする根拠となる考えとして「天人相関思想」というものがあります。

天人相関思想というのは、天=大宇宙の法則と同じものが人=小宇宙にもみられるという考えで、人体の形や機能が自然と相似になっているとする説です。例えば、肋骨は12対あるのは1年が12か月になっているのと対応していると考えます。

暦学の発展により、1年が12か月、365日というのが人体にもみられないと美しくないという発想が生まれて、経絡も12本、ツボが365穴であるという考えになったと推測されます。

このように、東洋医学の理論というのは、自然観察による経験的知識の集積したものではなく、思想が先にあってそれをもとに自然観察の事実を理論化するというプロセスを踏んでいるのです。

実用レベルではほぼ問題ない理論なのですが、自然科学的真実ではないものも含まれている可能性があり、それが治療の限界を作り、難しい病の治療を困難にしている可能性もあります。

そこで、それらを再検討するため、治療者自身が東洋医学を作った人々と同じ能力(気を感じるセンス)を修練により獲得する必要があります。さらに最新の現代医学の知識と合わせて東洋医学の臨床で起こる現象について分析し、それによって、約2000年前に現在の東洋医学ができて以降、その根拠が不明となった部分や当時の学問レベルでは誤解があった部分がないかをより見極めていくことができるのです。

そういった作業により、東洋医学を未来へ向けてバージョンアップしようというのが、アイビー鍼灸治療院で行われている東洋医学なのです。

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