糖質制限と東洋医学

最近はやりの糖質制限ダイエットですが、現代医学的には肯定派と否定派があり、研究者の中でも意見がわかれているようです。

では東洋医学として考えると、この問題はどのように考えられるのでしょうか?

東洋医学では糖は甘味、五行では土に属します。土は万物の母であり、大地の実りである食物も土、我々の肉体も土に属します。聖書では神は土で人間の形を作り、そこに息吹を吹き込んで人間を作ったような話がありますが、まさに東洋と同じ構造です。

甘味は土の臓である脾を助けますが、取りすぎると脾を傷ります。東洋医学の脾は現代医学でいう脾臓と膵臓を合わせた働きなので、糖のとりすぎで膵臓を傷害して、糖尿病になるのは、東洋医学と一致しています

東洋医学では中庸(偏りがなくほどほど、真ん中)を良しとしますので、糖尿病になるほど糖質を摂取することは戒めています。

でも、中庸を目指すゆえに完全糖質制限などの極端さもまた戒めているわけです。

完全に甘味を取らないことによって、脾気という土の気が補充されなくなります。

土の気がなくなることによって、母なる大地との関係が薄くなります。そうなると肉体の力が弱くなります。

人間はやがては母なる大地から自立して、親離れをする存在ではありますが、そこに母なる大地への愛や感謝がなければ、親不孝の家出と構造的には変わりません。

つまり、糖質制限をするうえで、糖質=悪のような精神状態で実施しているような傾向があるように思うのですが、そのようなやり方は、東洋医学的にはあまりよろしくないということです。

東洋医学でも当然、理想的な糖質制限というものはあるのです。

それは、『避穀(へきこく)』と呼ばれるものです。仙道の修行法の一つですが、五穀を断ち、草木の根っこのようなもので命をつなぐというような修行です。

現代でも『不食』の実践者がいて、現代医学的な栄養学では生命維持できないほどのカロリー、栄養で生きている人がいます。また、ヨガの行者の中にも不食の実践者がいるようです。これらも、意識の変革から実践して、不食に成功している場合が多く、仙道の『避穀』と関連した部分があると思います。

五穀を断つことによって、母なる大地から自立することが、仙人になる上で必須条件なのです。しかし、この自立は、親不孝の家出ではないのです。

『避穀』のように東洋でも伝統的に糖質制限に類したものはあり、それ自体は否定していないと思いますが、修行の一環として行われており、そこには精神のコントロールがセットになっています。

東洋医学では心身一如という言葉でも表されるように、心と体はひとつのものです。食べ物をただの物質としても見ていません。糖質制限ブームのなかで、自身の健康を気遣って糖質のことを考慮することは良いことだと思いますが、食べ物を悪く思ったり、健康を害する恐怖から極端な食事療法を実践することは、生き方として偏っているといえるでしょう。

ブームに振り回されず、心を豊かに、病気の恐怖を原動力にせず、極端に走らず、自然体で自分の身体にとって良い食事を追究していただければ、東洋医学的にも正しい食事といえるでしょう。

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