気候の気と病

東洋医学での健康とは、陰陽・臓腑・気血津液のバランスが平衡・調和がとれていることをいっています。
また、自然界の気候の気(六気:風暑湿燥寒火)や身体の内部(感情=七情:怒喜思憂恐悲驚)のバランスが平衡に保たれることで、健康が維持されているのですが、この平衡状態が崩れると病が発生するのです。
前に『思いすぎると脾を傷(やぶ)るとは?』というお話しをしましたが、思うことは感情(七情)の一つであり、その思いが過度になってしまうと五臓:肝心脾肺腎(この場合は脾)に影響がでるということなのです。

六気は、万物を発生・変化させる気であり元々は人体に影響はないのですが、六気の過剰や不足、季節に反して出現するなどの異常や、身体の抵抗力が衰えていると病を引き起こす原因となります。
邪気に転じた六気を外邪または六淫(りくいん)と呼びます。
風の邪気ですと、風邪(ふうじゃ)と呼んでいます。
『淫(いん、みだら、はびこる、ふける)』は説文に『浸淫(しんいん)して理に随う』とあり、地面に水が浸透していくことを意味しており、外界の六気が人体に浸してゆくように侵入することを表現しています。

外邪は季節に対応して現れることが多く、単独で起こる場合と他の六気と合併して引き起こすことがあります。
風と春は五行(木火土金水)でいう木に属しており、春の強風は黄砂や花粉を舞い上げて、目や鼻に症状を引き起こします。
風は春の主気であるのですが、風は動きやすい性質がありますので、春だけではなく四季全般に見られ、他の六気と合併して病を引き起こします。

近年では猛暑が続いているため、外は暑く、部屋の中に入るとクーラーが効きすぎて寒くなり、また外に出て温かい風に当たりの繰り返しで、最終的には身体の体温調節が追い付けず、体調を崩すことがあると思います。
これらも外邪が関係しており、クーラーや扇風機は人工的な風であり、風邪、寒邪、暑邪が合併して身体に病を引き起こしているともいえるのです。

普段、私たちが「寒くて風邪ひいた」「暑すぎて熱中症に…」「乾燥して喉が痛い・乾く」など言ってますが、それらは外邪が原因(必ずしも外邪が原因とはいえませんが)となっており、六気の過剰や不足、季節に反して出現、またクーラーや扇風機のように人工的に作られた気候が、身体に影響しているのです。

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