風水の水

前回の風水の風の話のつづきです。

水というのは高きから低きへ至る性質が示すように動き、循環するものです。東洋医学では気血水と3つをセットで体内を循環するものとして挙げています。

自然界における風と水、人体における気と血水、そう比較すると、風水の名前の由来は、おそらく風も水も流れるものの代表として挙げていることがわかると思います。そして、形のない風に対応するのが体内の形のない気であり。形のある水に対応するのが体内では血と水になるわけです。

ここでいう気は空気のイメージがベースになって、それ以外の体内の見えないモノも気として分類しています。なので、気のコアイメージは呼吸により体内に清気を取り入れ、濁気を吐く行為となります。

空気の出入りする呼吸という体内の現象が自然界の風に対応しており、風水の学問と東洋医学の学問に類似性があるということは、案外東洋医学の世界でも言われていないことなので、今日はそういう切り口で書いてみます。

水に話を戻しますが、循環する風に対する循環する水、非物質的な風と物質的な水の対比なので、風水の水というのは物質が気に与える影響や、物質の中の気によって環境を変化させる方法を示していることがわかります。

また、動きが激しい風が陽であり、風に比べれば質量によって動きが制限され、動きが静かな水が陰となる陰陽の対比にもなっています。

物質的裏付けを持つ影響は、実際に持続的な効果として人に作用し、風水という環境工学においても強力な影響力を発揮します。

なので、よく風水で水回りの方位が気にされたりするのは、そういう意味からなのです。

そして、水というものは気を集めやすい物質でもあります。東洋医学では、三焦というなぞの臓器があり、これは水分の通路全体の機能を指すとされています。現代医学ではリンパ系が水分を通す通路なので、三焦=リンパ系+その他と考えても間違いではないと思います。そして、三焦の経絡の働きとして古典では面白い定義がされていて、「原気の通り道」と書かれています。

原気とは生命の根源の気であり、生まれたときからある先天の精から作られる大本の気でもあります。そして、腎に関連する下腹部、臍下丹田に集まります。

腎は五行で水に属し、水と関連が深い臓器ですから、原気は腎において水と出会い、水に溶けて全身を回ると考えられます。それが、リンパ系である三焦経を通って全身に回ると考えれば、古典の記載である「三焦経は原気の通り道」という表現も実に深い理論になっていることがわかります。

以上をふまえて、人体の理論を風水に当てはめて考えれば、環境において水の状態を整えるということは、人体における原気や三焦経を整えることに相当し、大自然の根源的な気を整えることになるわけです。それは生活の基盤となる部分に相当し、その上に様々な生活のイベントが発生します。生きる上での基盤となる部分、そのイメージは肉体であり、先祖であり、その上に魂、精神などが重なってくるのです。

風水を使って病気を治す場合、物質的環境を改善することは肉体に作用しやすく、気の状態を変化させることは精神に作用しやすいといえます。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です